32 働き方改革:だれのための仕事なのか

強み・学校組織マネジメント
今日の夕日

定例会資料

今日の長野県教育委員会の定例会の資料
長野県立中学校・高等学校新しい「学びの指標」(案)について
が出ています。
私が言うのも大変僭越ですが、読ませていただいて、共感できる部分が非常に多かったです。改めて読み直したいと思います。

また、採用試験の申し込み状況も出ていました。
高等学校は募集100人程度+若干名に対し、志願者556人。
前年度より若干名増加したようです。大体5倍くらいでしょうか。

思い起こしてみると20年前。
募集40名に対して、志願者800名。
20倍だったことを覚えています。
(数学は80人のうち5人採用で16倍だった。)
採用された40名が、難関を乗り越えた超優秀な人材だったかどうかは謎ですが、
非常に個性的な同期なことだけは確かです

運良く、2回目の受験で受かったのですが、「若造」と呼ばれ、
年上の同期からは「(簡単に)受かって調子乗んなよ、とりあえず飲め」
と飲み会のたびにいつも言われました笑笑
懐かしいです。そんな時代でした。

※国や県でやろうとしていることを理解し、シェアしていくことも使命と考え、シェアしています。

だれのため?

さて、昨日「マルチタスクか、シングルタスクか」というテーマで書きました。
このテーマに関して、
「だれのための仕事なのか、時々わからないことあるよ。」
という意見をもらいました。
学年の会計処理に関しての話だったのですが、果たしてこれは先生の仕事なのでしょうか。

前回のブログでも触れた通り、教員の仕事は多岐にわたります。

一番大切なこと

教員にとって一番大事なのはなんでしょうか。
個人レベルで考えると
それは「授業」です。
これ以上に大事なものはありません。
生徒たちにとって、学校生活において授業を受けている時間が最も長いです。
もう一つあげるとすれば、
担任であれば、「学級経営」ではないかと思います。

仕事の合間に、授業にいく

採用されて間もない頃は、この2つのことさえ一生懸命やっていればいいのですが、歳を重ねるごとに徐々にそうではなくなってきます。

責任ある立場にあり、忙しい先生が
「仕事の合間に、授業に行っているな苦笑」
という言葉をおっしゃられていたのを聞いたとき、
「それじゃダメでしょ。」
って思っていましたが、
何年かして、そうなってしまっている自分にも気がつきました。

もちろん授業も毎年やっているので、慣れてきますし、授業の準備も毎年積む重なってくるので、時間は短くなります。
でも、気持ちの面で蔑ろになっているような気がするのです。

前回も触れましたが、勤務時間内にすべての仕事を終えることは、物理的に不可能です。

教職調整額

ちょっと話は脱線しますが、時間外手当ての話をしたいと思います。
時間外手当は教職調整額として一律4%付いています。
月額300,000円の給料の人なら12,000円です。
もし平日80時間働いたら時給150円ですね…
衝撃的にヤバイですね。
80時間が過労死ラインですが、過労死ラインなんて多くの先生が、楽勝で超えています。みんな本当にタフです。
(平成29年度の義務教育の教員の時間外労働時間は88時間)

ちなみに教職調整額とは
昭和41年度の文部省実態調査で明らかになった月8時間の超過勤務に相当する金額として算出されたものです。

(昔の先生は時間外勤務があまりなかったんですね。)
昭和41年以降そのまま適応されています。

上記の月給300,000円で、教職調整額12,000円の先生なら、
8時間換算で時給1,500円を支給されているということです。


今日の県の教育委員会の資料の
長野県立学校の教育職員の業務量の適切な管理等に関する規則案について
には

原則として1月45時間、1年360時間の範囲内とするため、教育職員の業務量の適切な管理を行うこととするほか、所要の事項について規定する。

とあります。
時間外労働を月平均30時間にするってことなのだと思います。
どのように運用していくのはか分かりませんが、実現してもらいたいですね(切実)

仮に、仮にですよ、
先ほどの時給1,500円(安いけど)を上記に適応すると、
30時間で45,000円となります。
教職調整額15%ということになります。

実際は80時間は時間外労働を行っているので、120,000円くらいもらいたいですが、
30時間分の45,000円でいいので、教職調整額を増額してほしいです(涙)

お金は大事です(切実)

※確認ですが、県の規則ができても、この金額がもらえるわけではありません…

先生が部活に来てくれない

生徒が「先生が部活に来てくれない。」
と不満を漏らしたときに時々こんな話をします。
もしバイトをしていて、『バイト代は出ないけど、ちょっと延長して働いてくれないかな?』って言われたら、それでも働く?

「平日の午後の部活はほとんど給料出てないからね。むしろ来てくれる先生に、まじでありがとう。って気持ちでいるといいよ。」
と。
(部活に顧問がいないと事故があったときに非常にまずいことになるんですが、矛盾してるけど)

時間外でも、先生たちはみんな当たり前に働いています。
また、生徒も保護者もそれが当たり前になっていると思います。

部活動の是非については、また別の機会に述べたいと思います。
非常に難しい問題です。

最近Twitterで、教員が部活動のやりがいについて呟くと、よく炎上していますよね。ちょっと気になります。
是非については議論は必要ですが、一生懸命やっている先生を批判することには違和感を感じます。

できることをしていく

正直、こうして書いていても、打開策があるわけでありません。
しかし、今後仕分けしていく必要はあります。

基本的に教員は報酬に対して、あまり口にしませんが、仕事に見合った給料ではないなと思います。
給料が2倍くらいになれば、教員志望は劇的に増えると思います。

すみません。
つい勢いでここまでは思いを先に書いてしまいました。失礼しました。
では実際にどうすれば良いのでしょうか。

イギリスとの違い

大学院の「学校づくり学級づくり」の授業の中の
リーダーシップとマネジメント」の授業において、
こんな話がありました。

日本 教員82% 教員以外のスタッフ18%
イギリス 教員51% 教員以外のスタッフ49%

事務職員の拡充が喫緊の課題であり、
現場でできることは、
法改正をする・教員の受け持ち授業時数を減らす・教職員の数を増やすなど、できることは数少ないのです。

ただ、現実的にはその逆で、事務職員は減らされ、教員がやる事務手続きは増えています。◯◯手当の手続きだけで、かなりの時間を取られますよね。

冒頭の「だれのための仕事なのか、時々わからないことあるよ。」
という学年の会計処理の仕事、イギリスなら教員以外のスタッフの仕事ですね。
この棲み分けをもっときっちりすべきなのだと思います。

私がよくやっているデータ処理や時間割作成なども、別に教員がやる必要はありません。専門のスタッフが行えばいいことです。
また、進路相談やキャリア教育も専門スタッフを置くことができます。
その分、教員の授業時間は増えますが、その他の仕事が減るなら、そのほうが専門性が活かせます。

現状でできること

実際に日本にはそのような職種がないのであれば、学校内で
授業担当の教員と、その他のことをする教員にはっきり分けてしまうのも、アリかもしれません。
授業をする先生は、授業とクラス運営をする。
それ以外の先生で、その他の仕事をする。
(それをしたい先生がどれほどいるかは別として…)

また、授業では次のように述べられていました。

子どもとかかわる業務
能率性を上げる1の努力で2の成果

事務業務
効率性を重視する1の成果を0.5の努力

能率性や生産性というと、教育ってそういうものじゃないと思われる方もいるかもしれませんが、時間と能力には限度があります。
常にこういう視点を持つことは一人の大人として非常に重要です。

削減の視点

【削減視点】として、
①伝統・前例の重み
→そもそも何のためにやっているのか?
②保護者からのプレッシャー
→よく考えると一部の保護者ではないか?
③子どものため
→子どものためって具体的には?
④みんな長時間労働
→時間外に働くことは当たり前じゃない。

コロナ禍で、多くの行事や会議について、見直すきっかけをもらいました。
形骸化していた様々な行事の問題点が浮き彫りになりました。
ピンチはチャンスです。

例えば
外部の会議
→ほぼオンラインでオッケー。
 出張する必要なし。昔は集まるしかなかったんです。でも今は違うんです。
 ◯◯指導主任会、とか進路の情報分析会など。
清掃
→業者を入れる。
行事
→入学式・卒業式の来賓あいさつなどの削減。
 各種行事の内容の再考(昨年度通りをやめる)
授業
→反転授業、スタディサプリなどを用いて、家庭での基礎固め、授業での演習や探究活動

など見えてきたことはたくさんあります。
少し考えるだけで、色々アイデアは浮かびますね。

しかし、学校が再開してこれまでの日常に、また戻ってきてしまっていることも確かです。改革の流れを止めないで欲しいです。

まとめ

先生は”こうあるべき”とか、学校は”こうあるべき”という形にとらわれるのは、もうやめましょう。
時代はどんどん変化しています。
やろうと思えば、面白いことはたくさんあります。
今当たり前だと思っていたことに、疑問を投げかけていくことが大事なんだと思います。
今までとは違った世界を作れる気がするんです。

本当の意味で、「生徒のために」なる仕事をしましょう。
まずは個人レベルでは「授業」です。(と学級経営)
良い授業ができるように、環境を整えていきましょう。
そのために、組織レベルで考えると、「学校マネジメント」が大事だと思うんです。(私の研究領域)

今回はご意見をいただいた話から書かせていただきました。

このブログを読んでくださる多くの人が、
ここにコメントをくれたり、facebook、LINE、Instagram、Twitterなどでメッセージやリアクションをくれます。
教え子が親になり、先生になり、コメントをくれます。

私にとっては自分が教員としての答え合わせのようなもので、本当にありがたいです。
教育の成果は長い目で見ていくことが大事だと、改めて感じます。
あのときヤンチャだった時間も意味のある時間だったんだと思うよ笑

今日も読んでいただき、ありがとうございました。

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