24 強み【FFS理論】

強み・学校組織マネジメント

FFS理論

ここのところゼミをやるたびにテーマになるのが、教員の同僚性や協働性。
すなわち学校の課題に対して、チームでどう取り組んでいくかということです。

先日のブログで
強み 【STRENGTHS FINDER(ストレングス・ファインダー】
について、書きました。
その中で、FFS理論についても少し書きました。

宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれるあなたの知らないあなたの強み

宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】

宇宙兄弟を題材に、FFS理論について教えてくれるこの本、非常に面白いです。
宇宙兄弟を読んだことがなくても、ある程度社会人経験のある人なら、
ものすごく共感しながら読めると思います。
自己診断IDがついているので、簡易的なFFS診断を受けることができます。

以下、引用箇所と斜線部分は
宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み
より引用。

FFS理論とは

FFS(Five Factors & Stress)理論とは、「ストレスと性格」の研究において開発されたものです。人が恣意的、無意識的に考え、行動するパターンを5因子で計量し、ストレス値においてポジティブな反応か、ネガティブな反応か分析します。その結果、その人が保有している潜在的な強みが客観的に分かります。

※人間を5タイプの「どれか」に分類するものではないことに注意。
5つの因子はどの人の中にも存在し、その多寡とその順番によって個性が理解できると考えられます。

FFS理論 開発者

小林 惠智(こばやし けいち) 組織心理学者・教育学博士、経済学博士

Human Logic Laboratory

詳しくはHuman Logic Laboratory社のサイトをごらんください。

5つの因子とは

A 凝縮性因子

「固定・強化させようとする力の源泉」
こだわりの強さがあり、自分の中に明確な価値基準を作りやすい。ブレずに、持論を主張する。
『これ、当然すべきだよね?』

B 受容性因子

「外部を受け容れようとする力の源泉」
相手のためを思い、柔軟に相手を受け容れる。関係する周囲の人の面倒を見て、その人が喜んだり、その人から感謝されることがうれしい。
『なるほど!分かる、分かる』

C 弁別性因子

「相反する二律にはっきりとわけようとする力の源泉」
情報に基づいて、曖昧にせず白か黒かはっきりと分ける。合理的で無駄なく進めようとする。自分の都合で判断することもある。
『これって、どういうこと?』

D 拡散性因子

「飛び散っていこうとする力の源泉」
情動的で、好きなこと、興味のあることに対して、すぐに飛び出そうとする。反面、興味を失うと一気に冷める。このため行動が脈絡なく見える。
『まぁいいや、とりあえずやろう』

E 保全性因子

「維持するために工夫改善していく力の源泉」
身近なところから目標を立てて、確実に進めていく。成功体験をベースに体系的な知識や経験を得ることで、成長しようとする。
『安全かどうか、まず確認しよう』

5つ因子のうち、「保全性」と「拡散性」は気質(先天的)に起因し、残る3つは社会的(後天的)な影響が大きいと考えられています。
日本人の気質因子は65%が「保全性」35%が「拡散性」となります。

イメージどおりですね。

私の因子

ちなみに私の因子は、E・D・B(保全・拡散・受容)でした。
宇宙兄弟でいうと「伊藤せりか」ですね笑
割と日本人に多い因子が揃っています。

もう少し、A 凝縮や C 弁別が強いかと思ったのですが、そうでもなかったです。

概要

この本は3つの章から構成されます。
基本的に宇宙兄弟のストーリーにそって展開していくので、イメージしやすいです。
ちなみに私は宇宙兄弟をときどき読む程度ですが、それでもすごく分かり易かったです。

第1章 自己理解 あなたの強みの活かし方

それぞれの因子には「判断軸」「ポジティブ反応時の特徴」「ネガティブ反応時の特徴」「ストレスの要因」「キーワード」があります。
まずは自分の因子の特性を具体的に理解していくことになります。
上位2つになると「受容性」「保全性」が55%「受容性」「保全性」が25%、「凝縮性」「保全性」が10%” だそうです。
なんとなく国民性を感じます。

私の上位2つは「保全性」「拡張性」…相反する… 

ここでの大事なことは、どの因子が優れているということではなく、それぞれの特徴を知ることなのかなと思います。
自分の因子にかかわらず、他の因子についても、身近な誰かを想像しながら、読み進めていくことができます。

第2章 他者理解 上司を味方につける方法

第1章で自分の特徴を知った上で、組織の中の「上司」と「部下」の関係性について考えていきます。
例えばよくあるのが以下のような場合です。

「拡散・上司」×「保全・部下」

まずは例えばこのパターン。
「拡散・上司」が「やり方は任せる。自由にやっていいよ」っていうので、「保全・部下」はどうすればいいかわからず、戸惑ったり不安に感じてしまいます

「保全・上司」×「拡散・部下」

このパターンでは
「保全・上司」は、事前に資料を読み込ませてから、ロープレを経て、少しずつ実践していく方法をとります。しかし「拡散・部下」にとってはそのやり方は「面倒くさく」「面白くない」ので興味を示さなくなります。要はとりあえず、自分でやってみたい。

他者理解する

これらの例から、何が言えるかというと、どちらの上司も自分にとってのやりやすい方法を部下に提示しているわけです。しかし、部下は因子(タイプ)が違うので、部下にとってはそのやり方は、望ましくないものだということです。
じゃ、どうしなきゃならないかというと、お互いに他者理解をすることが大事ということになります。

このほかにも
「凝縮・上司」×「受容・部下」
「弁別・上司」×「受容・部下」
「保全・上司」(リスクを取らない上司)の動かし方
などが、書かれています。めちゃ現実的で面白いです。

第3章 組織理解 目指すべきリーダー像

リーダーのあるべき姿は「決断できる、強いリーダー」だけではない。

そして最後に目指すべきリーダー像が書かれています。

日本人に多い因子は順に「受容性・保全性・弁別性」
アメリカ人に多い因子は順に「凝縮性・弁別性・拡散性」

です。全然違いますね!
「アメリカでは…」という人もいますが、根本的に因子が違うので、真似してもストレスを感じるだけですね。

この本では、決断することが苦手な「受容・保全」タイプが目指すべきリーダー像が述べられています。

変革型リーダーシップ

「凝縮・拡散」タイプのリーダー。
一般にイメージできるガンガン意思決定していけるリーダーです。
日本人には少なく、アメリカ人に多いです。
「受容・保全」タイプのリーダーがこうなろうと思っても難しいです。
変革型の強いリーダーシップは、日本人の多くには向きません。

無理にこうなろうと思ってがんばってきたリーダーは多くいるように思いますね。
自分と真逆の因子なので、研修などに出ても苦しかったんじゃないかと思います。

サーバント・リーダーシップ

「受容・保全」タイプのリーダー。
日本人に多いタイプ。

このタイプの人は、面倒見がよく、協調性があります。チームの環境を整え、改善を繰り返しながら全体の底上げを図りつつ、チームを運営していくことができます。部下を見守りながら、それぞれに合ったサポートをしながら育んでいく。そんな安心感を与えられるリーダーです。


多くの日本人はこちらのタイプが多く、日本流のリーダーを目指していくことが大事なのかなと思います。

その他のリーダーシップ

その他のリーダーシップについても述べられています。非常に興味深いです。
特に「受容性」が強いリーダーは
「いい人に思われたい」という気持ちが、部下の成長を疎外してしまっている可能性がかなりあります。
詳しくはこちらの記事
「いい人と思われたい上司」が殺すもの
をご参照ください。
この記事、ものすごく考えさせられます。
いいなと思ったところのみ抜粋します。

自らの限界を知ることが、成長には不可欠。実感だけではなく、これを裏づける研究があるので、紹介しましょう。「100%負荷理論」といって、ノーベル生理学・医学賞を受賞したS・オチョアによる身体記憶に関する研究です。

日ごろから自分の力の70%しか使わずに過ごしている人は、いざ新しいタスクや緊急の事態が生じるなどの有事に及んだときに、60%しかアウトプットしかできません。それに対して、いつも100%の力を出している人は、有事では130%を発揮することができます。

これ、真実ですね。

先生たちにとっても、「先生(上司)」×「生徒(部下)」とすると、思い当たる節は多々あるのでないでしょうか。

まとめ

COLUMNとあとがき

COLUMNにこうありました。

人の能力は、絶対値ではなく、チーム構成で決まる。
『宇宙兄弟』にスーパーマンは出てこない。みんなが違う能力を持って、協力し合わないとプロジェクトを成し遂げることができない。

また、あとがきにも

「人を活かすための組織であるはずが、人を活かしていないし、逆に潰している」という問題意識が漠然とありました。悶々としている時に、小林博士と出会い、最適組織編成理論であるFFS理論をしりました。

とありました。

まとめ

上記のCOLUMNとあとがきは、まさに今自分が考えていることであり、研究したいと考えていることを代弁してくれているようでした。

この理論は人を5つの因子の「どれか」に分類するものではありません。
しかし、組織の中でお互いの性質(強みや特徴)を知ることで、
互いに対する考え方は変わってくるし、すれ違いは減っていくように思います。

『自分を知り、人を理解し、リーダーシップを発揮する。』

すごく当たり前なことだけど、
でもこれって、学校でも社会でも教わらないんですよね。
(ひょっとしたら、道徳の授業とかでやっているのかもしれませんが)
だから、人のことを思ってやったつもりが、相手にとってはそうではなくて、誤解を生んだり、その空回りがやる気をなくす原因になったりします。

そんなことで苦労して、苦しんできたことがたくさんありました。
一生懸命になればなるほど。

私の研究は始まったばかりですが、この【FFS理論】や【STRENGTHS FINDER(ストレングス・ファインダー】も含め、もっと勉強しながら、生産性のある学校組織を作っていけるといいなと思っています。

今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
あなたはきっと明日、学校や会社で少し周りの見え方が変わることでしょう!
ぜひ本を買って読んでみてください。

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