20 私の考えるこれからの学び方(高校数学)

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先日、冒頭で反転授業について触れました。

これからの授業のあり方について考えさせられました。
そして、私ならどうやるかなと考えてみました。(高校数学)
今日の内容はあくまでも私の考える理想なので、いろいろ思うところがあれば、ご意見をお聞かせください。(できるだけソフトにお願いします苦笑)

反転授業(はんてんじゅぎょう、英語: flip teaching (or flipped classroom))は、ブレンド型学習の形態のひとつで、生徒たちは新たな学習内容を、通常は自宅でビデオ授業を視聴して予習し、教室では講義は行わず、逆に従来であれば宿題とされていた課題について、教師が個々の生徒に合わせた指導を与えたり、生徒が他の生徒と協働しながら取り組む形態の授業である。英語では、「backwards classroom」、「reverse instruction」、「flipping the classroom」、「reverse teaching」といった表現も用いられる[1][2]

Wikipediaより

ちょっとだけ私の過去の話

私は今長野県に住み、信州大学大学院に通っています。
しかし、高校までは関東地方に住んでいました。
正直今、私の母校でどの程度受験対策をしているかは分かりませんが、
当時は「学校では基礎的な学習を行い」「予備校(塾)で進学対策を行う」という棲み分けが完全にできていました。学校の勉強で受験に対応しようという概念はありませんでした。
今でも覚えていますが、クラスで予備校に通っていなかった生徒はほとんどいなかったし、国公立大学しか受験しないという仲間はクラスで二人しかいませんでした。
「え、まじで!!お前、勇気あるなー。」と言われていたのを覚えています。
(その他の人は国公立志望だとしても、私大を併願するように予備校から指導されていました。)
地方の進学校の生徒では今でも国公立一本で受験する生徒はもっといるように思います。

あくまでも私の考えです

何が言いたいかというと、よく都市部の進学校で、
「私(先生)が興味のあることを生徒に伝えている。」だとか、
「こんなに探究的な活動を中心にやっています!」
みたいなことを言いながらも、進学実績を維持できるのは
生徒たちが学校外で受験対策をしているからに他なりません。

私は数学の教員ですが、「教師が生徒に数学を教える」というスタイルで授業を行なった場合、探究的な学びを授業に入れることは、高校3年間で不可能です。
申し訳ないですが、履修する内容が多すぎます。
逆に探究的な学びだけを主にすれば、基礎学力の定着が疎かになると思います。

中高一貫校であれば、中学の内容はもっと時間短縮して教えることも可能であるため、中3の途中から高校の内容に入れば、1年間受験対策をしたり、探究的な活動をしたりする時間は得られる気がしますが。

私のイメージでは「中学数学3年分を1年間で学ぶ」=「高校数学を数学Ⅰ Ⅱ Ⅲ A B Cを3年間で学ぶ」という感じです。そう考えるとめちゃ忙しいとわかっていただけると思います。そんなの授業だけで身につくはずないです。

すなわち、地方の進学校で、「学校の授業で受験対策を行いつつ、探究的な学びを行う。」ということは物理的に難しいということです。

このことについては、なかなか同僚に話をしてもわかってもらえないのですが、この視点は非常に大事だと思っています。
相当に頭いい生徒と、時間外労働をいとわない先生だけで構成されていればやれると思いますが…じゃ、そういう生徒だけ見て、成果が出ているというのはなんかおかしいです。とりこぼされている生徒は大勢います。

私の考えるこれからの授業

とここまで問題提起をしたところで、私なりの考えを述べていきたいと思います。

放課後の教室を塾に開放

地方の進学校では、学校で受験対策をしていくことは、絶対的に必要になります。
でも通常の教育課程をこなすことで時間的にはいっぱいいっぱいです。(とりあえず数学は)
じゃ、どうすればいいか。
一つは、塾との連携だと思います。
もう正直お互いのプライドを捨てて、連携するといいと思います。
例えば、放課後の教室を塾に開放して、委託していく形です。
学校の場所を使うので、料金は塾に行くよりお得な形でやれるといいです。
また、学校の先生でも、受験指導をしたいという人も、塾の先生と横並びで進学講座を開いていけばいいです。
学校で抱えすぎです。学校と塾で連携して進学講座を作っていきます。

この小説は三代にわたって、塾の立場から教育に向き合っていく物語です。
塾と学校教育のそれぞれの立場から考えされられます。
教育関係者にはおすすめの一冊です。

みかづき (集英社文庫)

学校ですべてやるとしたら

2つ目は、塾と学校という観点ではなく、学校の授業の中で、教育課程に定められた授業を行い、その上で探究的な学びも入れつつも、進学指導も行うというミラクルなやり方を考えていきます。(普通にやるとしたら、心臓が3つくらいついていればできるかもしれない話です。)

タブレット端末は必須

まずは生徒全員にタブレット端末(iPad)を持ってもらいます。
導入の仕方はいろいろありますが、個人で購入するか、他の教育サービスと抱き合わせで導入します。)


Apple iPad (10.2インチ, Wi-Fi, 32GB) – スペースグレイ(最新モデル)

とりあえず一番手軽に購入できるのは、これですね。38,270円です。(スマホより安い)学校で使用するだけなら十分です。
ちなみにアップルの公式サイトだと24回まで分割手数料無料ですね。
今後高校での学習でiPadはマストになると思うので、中学段階までに使い方に慣れておいた方が、高校の学習にスムーズに取り組めるように思います。

AI教材の導入

そして、学校の授業で先生が説明して教育課程で定められた授業内容を行い、さらに進学指導を行うことは極めて厳しいため、学校での基礎的な授業はAI教材に任せます。家庭でもAI教材を使って進めることを促していきます。

授業は各自のペースで進め、それぞれの進捗状況でAIが次の問題を判断し、学習を深めていきます。これをベースとして、教員はそのサポートに入る形をとります。
正直授業をする醍醐味は失われると思いますが、生徒が習得する学習速度は飛躍的に向上します。
この記事https://hugkum.sho.jp/29383)にもありますが、教育課程で定められた基礎的な学習は半分の時間で終えています。これが理想ですね。

その上で授業では、各自のペースで進め、わからないところは生徒同士の学び合いと教員が間に入ってのフォローを行なっていきます。

中学でいえば、千代田区麹町中学校(工藤勇一校長)などが人工知能を使ったタブレット教材「Qubena(キュビナ)」を導入していますね。
(工藤校長は昨年度定年され、今は横浜創英中学・高等学校校長です。)
工藤先生の本を読んだことのない教育関係者や保護者の皆さんは、とりあえず工藤先生の著書を1冊は読むことをお勧めします。(面白いです。)


学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―

ただ課題もある

が、しかし、ここで問題があります。
中学数学なら、それでもいけそうな気がするのですが、
高校数学の内容は、中学数学に比べ、解答を添削するのにAIで判断できない複雑さがあります。「因数分解する」とか、「公式を使って解を求める」であれば、AIでも判断できますが、記述した解答をAIが判断することは現段階でかなり難しいと思います。この辺りは今後の課題なのかなと思います。
それでも高校のAI教材も出てきているので、使う価値はあると思います。

演習問題や探究的な学び(STEAM教育)に時間をかける

半分の時間で履修できたなら、その残りの時間を「大事な演習問題を考える時間」「探求的な学び(STEAM教育)」に当てています。
これまでの授業の中で、本当は時間をかけたいんだけど、時間がなくてかけられず、教員がやり方を教えてしまう場面が多くありました。
一つの問題の中に、引っ掛かりポイントがいくつもあり、考えるのにすごく面白い問題がたくさんあります。そういった問題に時間をかけたいと思います。
そこは全員でアイデアを出しながら行います。
そういったアイデアの共有で使えるのが次に紹介学習支援ツールです。

学習支援ツール

その際に使えるのが、先日授業参観で参観させていただいた学校でも使用していたロイロノートなどの学習支援ツールだと思います。

ロイロノート ホームページから引用

私はこのツールだけを推しているわけではないので、一つの例をして説明します。
各自がiPadなどのタブレット端末を所有することが前提となりますが、
教材の共有が非常にしやすくなります。

・課題・授業プリントの共有・配信
・課題の提出
・タブレット端末・電子黒板を使用しての提出された課題の共有。
・授業時間中の課題の配布・回収・共有

など、非常に簡単になります。
すなわち、各自がAI教材で学習し、授業者から配信された課題を行い、提出することがオンライン上でできます。また、教員側はそれを授業中に生徒にシェアし、
良かった解答や、つまづいた解答などを電子黒板・タブレットを介しながら授業を進めることができます。

模範解答以上に、どこかでつまづいた解答は多くの人にとってより勉強になるものです。そういった回答に気がつき、多くの人が学び合えることは大きなメリットになります。

iPadを授業で使用する際の問題点

しかし正直、iPadにペンや手で解答を書くのはかなりのストレスです。(いいペンを使えば別ですが、私は面倒で嫌です。)数学では数式を用いるので、キーボード操作に慣れていたとして面倒です。
英語などの授業においては、キーボードを使用すれば、入力は楽になりますが、コスト面、キーボード入力のスキルを考えると、課題は残ります。
この辺りは今後の改善が必要になります。

あくまでもこのようなツールやiPadは学習を補助するものなので、紙に手で書いて、それを写真に撮って、共有するっていう方法もかなり有効だと思います。

すなわち、iPadなどはあくまでも授業をサポートする補助的なものであり、主ではありません。
何が言いたいかわかりますか。
やり始めると、どうしてもツールを使うことが主になりがちなのです。
もし1時間目から6時間目まですべてiPadをどっぷり使うとしたら、違った意味でものすごく疲れますよね。
あくまでも学習効率を上げるための道具としての使い方が大事かなと思います。

まとめ

もしiPadなどを用い、AI教材を用いて、半分の時間で履修できて、残りの時間を演習問題や、探究活動(STEAM教育)に当てることができたら、非常に魅力的です。
そのようにできるためにどうしたらいいか環境設定を含め、早い段階で詰めていきたいと思います。
その中で、より効果的な使い方を模索していきたいと思います。

私は高校のときどうやって数学を勉強していたかというと、先生の話も聞かず(すみません)、自分で教科書読んで、問題集を先へ先へやっていました。
お世辞にも真面目な生徒だったとは言えませんが、主体的に学んでいたことは確かです。

これは何の学習にも当てはまるとは思いますが、主体的に学ぶ意欲に勝るものはありません。どうしても学校の授業は受け身になりがちです。「先生が教えてくれる。」となり、自分から獲得する意識が薄れがちになります。

だからこそ、もし自分のペースでやれるAI教材があったらいいなと思っています。
その上で、演習問題は仲間と学び合えれば、「得意な人は人に教える」という最高の学習環境が生まれ、「得意ではない人は仲間から様々な角度から理解するきっかけをもらう」ことができます。
そして、さらに探究活動も織り交ぜられたら最高だなと思っています。

あくまでも現時点での私の理想です。今後も考えを深めていこうと思います。

最後に

STEAM教育のフォーラムで
「探究的な学習を行っていて受験対策できるのか」
という質問がありました。
確かにそうです。
しかしその中で、
「探究的な学びをしたことで、学習に対するモチベーションは非常に高まるから受験に対する意欲は増していくので、結果的に学習効率は上がる。」
というようなことを言っていました。
しかし、この話には一つだけ落とし穴があって、それは基礎的な学習ができているから探究活動に時間がかけられるという前提の話だということです。
超進学校はそれができます。でも多くの学校はそうはいきません。
だからこそ、AI教材などのツールにより基礎的な学習が時短できて、探究的な学びにより、子供たちの興味関心が高まることを期待します。

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