今日は近くの競技場が使用できなかったため、少し離れた競技場で部活を行いました。現在は学校に籍はあるものの、部活動の顧問ではありません。
それでも班員とは連絡を取り合い、定期的に練習は見ています。
今回は私の部活動の指導のスタンスについて書きたいと思います。
私は陸上班を指導しています。
ちなみにうちの学校では陸上班。班活動と言っています。
長野県に来て、ジャージの背中に「陸上班」と書いてある学校をみて、
「班」ってなんだ笑
って思いましたが、
運動部の下部組織としての班活動のようです。(運動部陸上班みたいな)
で、話は戻ります。
私の競技歴
先に、少しだけ私のことを書きたいと思います。
陸上は中学の途中からやっています。
当時スラムダンクの連載が始まった時期で、中高生にとって空前のバスケットブーム。小学校の時の先生がバスケットが好きだったこともあり、私ももれなく中学でバスケ部に入りました。
しかし、スタメンにはなれず、学校の外周ランニングのエースでした笑
そして、中学2年時より、特設陸上部に選ばれ、夏の大会前はバスケットの練習をせずに、走っていました。
特設陸上部とは、今はどうなっているのかわかりませんが、私の住んでいた神奈川県では、当時、陸上部所属の選手が戦う中学総体、通信陸上以外に、陸上部以外の選手も含めた特設陸上の大会が、8月に地区予選、9月に県大会とありました。
その試合のレベルは非常に高く、その大会をきっかけに高校から陸上を始める選手が多かったように記憶しています。(間違ってたらごめんなさい。)
私もその一人です。
その後、高校、大学と陸上を続け、大学の陸上部の仲間が好きで、そのまま長野県でやっていきたいなと思うようになり、今に至ります。
高校でも県大会決勝には出ていますが、それ以上には進めていません。
高校1年時にはチームは関東高校駅伝に出場していますが、補欠。
大学3年時にはチームが全日本大学駅伝に出場していますが、補欠。
と、そのくらい選手です。いつももうちょっと。
とくに大学時代は特にメンタルが弱くて本当にダメなやつでした。
すなわち、私は頑張っていたけど、あまり競技実績のない選手でした。
私の指導歴
そして指導者になりました。
指導者をしてみるとわかりますが、選手としての競技実績がある方が多く、私のようなものはビビるばかりでした。
今でもそうですが。。。
採用されて指導を始めた頃はうまくいかないことが多かったです。
選手も2、3人しかおらず、ほぼマンツーマンでした。
隣の学校(ちなみに今の私の所属校)の中長距離の選手が、私の学校に練習に来ている時期があったのですが、自分の学校の選手は誰もいないのに、隣の学校の選手は来るので、隣の学校の選手とだけ一緒に走るなんてこともありました笑
懐かしいです。
採用3年目より、指導力のある先生と出会い、それ以来自分なりのノウハウもできてきて、今に至ります。
今は割と選手たちが活躍してくれていて、教え子には
現在、男子800mの日本記録保持者で日本選手権6連覇の川元奨(スズキ浜松AC)
をはじめ、
これまでインターハイには
男子 800m,3000mSC,円盤投,ハンマー投,
女子 砲丸投,円盤投,七種競技
で出場しています。
ちなみに高校の陸上競技はブロック大会(うちの場合は北信越ブロック)
で6位以内に入ると出場できます。(5県で6人)
県大会6位以内で出場できる北信越大会には、教員を初めて5年目からずっと出場し続けています。ちゃんと見直していませんが、特殊な技能が必要な種目以外は大体出場しています。もちろん上位選手だけの実績で偉そうにいうことはできませんが、客観的に見れば、一応まぁまぁちゃんとしている指導者です。(自分で言うのもあれですが。)
毎日見ているわけではない
今日の練習は、2週間後に迫った高校総体の地区大会の代替大会のためのポイント練習でした。自分の出場する種目のタイムトライアルを行いました。
雨が降る中でしたが、選手はほぼ自己ベストタイムでこなしました。立派です。
じゃ、私が毎日熱心に指導しているかと言うと、
今は週に数回ポイント練習をみるくらいです。
(ポイント練習とは週に2、3回行う強度の高い練習です。)
あとは時々、ドリル(ランニングの動きなどを作る練習)はやります。
それ以外は、毎日LINEで練習の報告をもらい、返信しています。そのことは大事にしています。
大学院生という立場、顧問ではないということもありますが、
それは昨年までも同じで、あまりスタンスは変わりません。
すなわち、毎日見ているわけではありません。
こんなこと言うと怒られてしまうかもしれませんが。
ちなみに昨年度も800mで沖縄インターハイに出場しています。
毎日見ていないというと、管理責任上、問題があるかもしれないので、あまり偉そうには言えませんが、主顧問の体育の先生は、いつもグラウンドに居てくれるので、管理責任上は問題ありません。
しかし、どちらにしても、中長距離種目と競歩の選手は、外に走りに行ってしまえば、ずっと見ていることはできません。
では、なぜ私が毎日見ないのか、少しだけ説明したいと思います。
私の指導・誰のための陸上か
これはあくまでも私の考えであり、やり方です。
やり方は人それぞれであり、私は毎日練習を見ている指導者を尊敬しています。
もちろん、否定するつもりもありません。
その点をご理解の上で、指導法の一例として、お読みください。
きっかけ
指導を始めた頃は毎日見ていました。
選手も少なかったので、毎日声をかけていました。
しかし、うまくいきません。
当時私はまだ自分も競技を続けていたこともあり、結構、強い指導をしていました。
選手は育ちませんでした。
先にも書きましたが、3年目に指導力のある先生と一緒に顧問になり、勉強させてもらいました。4年間一緒にやり今の自分の基礎となるものを教わりました。
一緒にやっていくうちに、徐々に自分のやり方で指導者としての力を試してみたいと思うようになりました。
後の日本記録保持者に対する指導
そんな時、その先生は先に異動していき、代わりに、日本記録保持者となる川元が入学してきました。
彼は中学時代、ジュニアオリンピックで入賞した実績のあるランナーでした。
1年目は指導しましたが、2、3年目は私が異動し、専門的に指導できる指導者がいなかったため、顧問の先生と協力して、間接的に協力して指導することになりました。
高3で彼はインターハイ、国体で優勝、当時の高校記録を樹立していますが、私は顧問ではありません。ですので、素晴らしいのは、当時の顧問の先生です。彼の仲介がなければ、絶対にうまく行っていません。
私と川元は、その後も継続して指導者と選手の関係であり、コミュニケーションをとってきているので、都合よく教え子にカウントさせてもらっています笑
実際、彼の指導は、1年目はさほどうまくいったわけではありません。
中学時代、全国入賞をしている選手でありながら、
総体は県大会止まりですし、北信越新人の1500mで優勝したくらいです。
冬のトレーニングはうまくいっていたので、2年時からは活躍するかなとは思っていましたが、私は在籍年数が長かったため異動しました。
そして、2年時はインターハイ2位、国体3位となりました。
3年時は負けなしで、インターハイ優勝、国体優勝、高校記録(当時)樹立。
大ブレークです。
つまり、私が顧問でなくなってからの実績が素晴らしかったのです苦笑
もう一度言いますよ。
私が顧問でなくなってからの実績が素晴らしかったのです笑
しかし、実はこの時の経験が今に活きています。
選手との距離感
実は選手との距離感が近いと、細かいことが気になってしまい、いろいろアドバイスしたり、注意してしまったりします。
これがプラスに働くかと言うと、たいていは選手から考えることを奪います。
そして、そもそも単純にうざったい指導者となります笑
1年目の彼との関係はまさにそんな感じでした。
2年目以降はある程度距離があったので、結果的にあまり細かいことはいわずにすみました。
1年目にあれこれ言っていたので、基礎はできていたということもあると思います。後で聞いたら、うざいほど言っていた1年目の指導が大事だったとは言っていましたが笑
特に彼のような色々な意味で、規格外の選手は、指導者の器で測らないことが大事だと思います。
何はともあれ、彼の指導がきっかけとなり、
ベースを作る1年目などは、細かいことも含め、しっかり指導をするが、できているのであれば、あとは選手に任せていく。という指導のスタンスがうまれました。
実際のところ、それを体系的にやるようになったのは本当に最近です。この10年くらいをかけて徐々のその形に近づいてきたって感じです。
ひょっとしたら、これを読んだ元教え子のなかで、「私の時はそんな感じじゃなくて、うざったかったな」と思っているかもしれません。ごめんなさい。
でも今は、そんな感じです。
先生が練習にきてくれない
正直、練習に行かないと、選手は「なんで顧問は練習にきてくれないんだ。」って思うのではないかと思い、無理して行っていた時期もありました。
今はあまりそのことは気にならなくなりました。
選手はちゃんと成長し、自己記録を更新しています。
それが真実です。
なぜでしょう。
目的を明確にする
競技は誰のためにあるかと言えば、選手のためです。
指導者のためではありません。
だから、選手が目的を持って、その目的のためにトレーニングしているのであれば、
指導者は側でその後押し(サポート)をするだけです。
目的を明確にすることについては、徹底してやります。
「なぜ、その目標を設定したのか。」
「達成できたら、どんな気持ちになるのか」
「そのために何をするのか。」など
かなり深くディスカッションします。
そして、ベースとなるトレーニングについては、
できる限りエビデンスベースで、きちんと説明します。
鍛錬期、準備期、試合期のトレーニングの目的など、論理的に説明します。
そして、メニューのアウトラインを作り共有したら、あとは選手と話し合いながら決めます。
結果的に一人ひとり、内容や設定タイムが違ったりすることが多いです。
あとは選手が勝手にどんどんやるので、あまりやることはありません。
ポイントとなる練習を見て、気になることがあれば、ディスカッションして、修正してまた次に繋げます。
見ていないと選手はサボる?
「毎日見ていないと、選手がサボるんじゃないか」と思っている指導者もいると思います。それって、選手のこと信頼していないのかなと思います。
練習を見ていると、すぐに注意したくなる場面も多々あります。しかし、すぐに注意しなければ、ならない事案であれば、すぐにしますが、そうでなければ、少し待つようにしています。(こちらも我慢強さが必要ですが)
結局本人が気がつくかどうかが、大事なのです。
本当に目的が明確になっていてれば、その動機が内発的であれ外発的であれ、選手は自発的にトレーニングをしていくようになります。
あとは遠目に見ているだけです。
そういう状況になっていないのであれば、まずは練習する前に、目的を明確にすることから始めた方が良いのかなと思います。
やらされてやるものじゃないですね。
だって私たちだって、常に監視されて、やらされるのっていやじゃないですか?
誤解しないでいただきたいのは、コミュニケーションはしっかりとっています。
完全に選手任せにしているわけではありません。
目的にむけて何をやるかを大切にしているだけです。
当然必要があれば、もちろんポイント練習でなくても行きます。
私の指導の目的
私の指導は陸上競技が目的ではなく、その後、一人の人間として自立して生きていくことを目的にしている面があります。
それでも選手の人生はその先も続いていきます。そのことを大事に考えます。
ただですね、本当に指導力のある指導者は、その先の人生も意識した上で、ガッチリとその指導力を遺憾無くはっきしているので、最強です!
時々いるんです。最強の指導者が。
まとめ
簡単ではありましたが、私の指導の考え方について、述べさせていただきました。
陸上競技という個人種目だからこそ、できるのかもしれませんが、たぶん誰にでもできることです。
もし、専門外の種目の顧問になったとしても、「目的の明確化」はできます。
練習内容は、わかりもしないのに下手にこちらから提示するより、選手と一から相談したって、構わないと思います。
多分その方が成果も出ます。
大事なのは選手が自分ごととして、主体的に活動できるかです。
教員の仕事は多忙で年々部活動が負担になっていることは、確かです。
私は部活を指導したくて、教員になりましたが、そんな人間ですら、本当にやることが多くなってくると、苦しくなることがあります。
そんな中で、選手が主体的に活動し、ずっと見ていなくても成長するのであれば、win-winです。
未熟な存在でも、選手を一人の人間としてリスペクトしていきましょう。
それでもこれを読んだあなたの何かのきっかけになれば、嬉しく思います。
また、川元は1年後に延期された東京オリンピックでの活躍が期待される選手です。
是非応援お願いします。
今日も最後まで読んでいいただき、ありがとうございます。
コメント