42 JRWJ(日本陸連競歩審判員)

私の話

今日は陸上ネタです。
いつかは書こうと思っていた競歩のこと。
今日、長野県の大会がシーズンインしたこともあり書くことにしました。

JRWJ

私は今シーズンより、日本陸連の競歩審判員資格であるJRWJ(Japan Race Walking Judges )となりました。
このブログを読まれている陸上競技、特に競歩に馴染みのない人には、???な資格がと思いますが、JRWJとは次のような資格になります。

競歩審判員の資格には、国際陸上競技連盟(WA=World Athletics)が認証する国際競歩審判員(IRWJ=International Race Walking Judges )と日本陸上競技連盟(JAAF)が認証する(JRWJ=Japan Race Walking Judges )の資格があります。
WAではIRWJを『Level Ⅲ(スリー)=IAAFレベル』と『Level Ⅱ(ツー)=エリアレベル』に分けており、JRWJは『LeveⅠ Ⅰ」(ワン)に位置づけられています。WAレベルの国際競歩審判は権威ある資格です。

競歩のみどころ 102回日本選手権20km競歩より引用

JRWJは日本陸連競歩審判員ともいい、日本選手権、国体、インターハイなどの日本陸連主催大会の競歩審判をすることができる人で、現在38名がその資格を持っていて、国際競歩審判同様に4年任期です。

※人数については、昨年度までの人数に新規で加入した人を足した人数。(おそらくあっていると思います。)

日本に38人しかいないんですよ。
昨年度、試験を受験させていただきましたが、22名受験し、3名が合格という狭き門でした。(同期合格者の中には世界陸上代表者も。)
長野県では私が初めてのJRWJとなります。

上記にあるように、日本陸連が主催、共催する大会においては、基本的にJRWJの資格を持つ競歩審判員が歩型を判定することになっています。

また、もし日本記録が出たとしても、事前に陸連にJRWJの派遣要請を行い、JRWJが一人でも競歩審判員として歩型の判定を行っていないと、日本記録とは認定されません。
(日本記録の可能性のある大会の場合は、陸連に事前に申請してJRWJを派遣してもらうことが必要だということです。)

競歩の歩型

競歩の歩型(歩き方)について簡単に触れておきます。
なんとなくクネクネ歩いているイメージがありますよね。
競歩の歩型は次のように決められています。

競歩の定義
競歩とは、両足が同時にグラウンドから離れることなく歩くことをいう(ロス・オブ・コンタクトにならない)。前脚は、接地の瞬間から垂直の位置になるまで、まっすぐに伸びていなけれ
ばならない(ベント・ニーにならない)。いずれも目視で判定する。

日本陸連ルールブックより引用

基本的にこのことを満たしていればOKです。
「両足が同時に地面から離れない」「接地から体の真下まで膝はまっすぐ」です。
すなわち走っちゃいけないってことです。
そして、目視で判定します。重要なのは審判の目です。
よく写真を見ると足が浮いていたりすることがありますが、人間の目で見切れる範囲で判定します。

日本陸連ハンドブックより引用

競歩のルール(すごく簡単に)

例えば、高校総体の競歩はトラックの5000mで行われ、主任1人と5人の競歩審判員が歩型を判定します。
(道路競技では、通常、主任を含め6人から9人の競歩審判員となります。)
主任はレース全体を統括するのが主なお仕事で、歩型判定は基本的には残りの5人で行います。
トラックでのレースでは、基本的には主任以外の5人の審判員のうち3人がレッドカードを出したら失格となってしまいます。

競歩審判員は、選手が「競歩の定義」に反するおそれを感じたら、イエローパドルを選手に提示します。「このままだと違反になるかもしれないから直してね」という意味です。つまりイエローパドルを使って選手に改善を促します。
そしてレッドカードは,競歩審判員が競技者の歩型が「競歩の定義」に明らかに反していると判定した時に出されます。
(ルール上はイエローパドルを出さなくても、レッドカードは書けます。)

審判員の役目は、積極的に違反者を見つけることではなく、全員がルールに従った歩型でゴールしてもらうことです。

JRWJは全国に38人しかいないので、通常の大会では、JRWJの資格は必要なく、通常の公認審判員が審判にあたります。私も昨年度まではそうでした。
長野県だと、北信越総体まではJRWJではない人が競歩審判をしていることがほとんどです。今回私が加入したことにより北信越総体は5人中3人はJRWJになります。(これはかなり質の高い審判編成です)

主任1発失格

また、日本選手権やインターハイなど、日本陸連主催または共催の大会では、ゴール手前で、歩型を満たしていない場合と判断された場合、JRWJの資格を持つ主任が、1発で失格にできる権限があります。
通常は5人の審判のうち3人がレッドカードを出したら失格なのですが、主任がレッドカードを出したら1発で失格になってしまうのです。
ものすごい権限ですね。責任重大です。

例えばインターハイでは例年、このゴール前の1発失格の選手が何人かいます。

なぜそのようなルールがあるかというと、

どうしても最後の最後まで勝負がもつれ込み、順位を争って歩型を違反してしまうことがあるのです。(つまり走ってしまう。)
すなわち、主任1発失格のルールが、最後に無理にスピードを上げて歩型違反を防いでいます。最後まできちんと歩くことが大事です。
トップレベルの選手はものすごく速く、「歩き」と「走り」の紙一重の速さです。

日本競歩の活躍

ちなみに今の日本の競歩はめちゃめちゃ強くて、
2015 北京世界陸上 50km 銅
2016 リオオリンピック 50km 銅
2017 ロンドン世界陸上 50km 銀 銅
2019 ドーハ世界陸上 20km 金 50km 金
と多くのメダルを獲得し、近年はずっと入賞者を出しています。
日本の陸上で一番活躍をしている種目とも言えます。

この結果は選手や選手の努力はもちろん、JRWJの審判の適切なジャッジがあり、今の活躍があるように思います。

シーズンイン

さて、前置きが相当長くなりました。

今日はようやく長野県の今シーズン最初の大会でした。
JRWJの資格を有したこともあり、競歩主任を任されました。

もちろん、長野県の大会なので、陸連から派遣されたわけではありませんが、
資格を有したことにより、これまで以上に責任は伴います。

あまりに久しぶりすぎて、また朝早すぎて、ばたついたところはありましたが、
審判をされる先生方と入念に打ち合わせを行った上で、レースに臨みました。
レース後の反省会にもかなり時間を費やしました。
今後も適切なレースができるように、入念に準備を行っていこうと思います。
まだまだ、経験不足で慣れないですが、より良い運営を行っていけるように頑張ります。

今日のレースは、自分が国体コーチ時代に教えていた選手が多く出場していて、うれしかったです。みんな頑張っているな。いろいろ話もできてよかった。
また、レース後に指導を求めにくる選手も多く、短時間でしたが良い時間となりました。
こういう繋がりはこれからも大事にしていきたいです。

私と競歩

ちなみに、元々私は3000mSCの選手なので、競歩経験はありません。

長野県は競歩がめちゃくちゃ強くて、日本代表選手を何人も輩出しています。
そんな長野県において2015-2018年の4年間、国体の競歩コーチを務めさせていただきました。
自分の学校で、中長距離選手を指導するうちに、競歩選手も指導するようになりました。なんとか競歩選手を育てようとがんばってはいましたが、そうこうしているうちに、どういうわけか競歩コーチを任されることとなりました。私より優秀な競歩の指導者はたくさんいるのですが…

あまりプレッシャーを感じないようにはしていましたが、長野県の歴史を考えると大変な重責でした。本当に考えないようにしていました。
(ちゃんと毎年みんなが国体入賞してくれて、正直選手に助けられました。)
2019年からは、より専門に近い中距離コーチとなりましたので、競歩の強化からは離れていますが、その流れがあり、今回のJRWJの資格取得に至っています。

競歩界で名を馳せた方々ばかりのJRWJにおいて、私のようなものが加入することは非常にプレッシャーですが、歩型の判定技術は、競技経験がなくても高めていけるので、しっかりと磨いて、役に立てるようになればと思っています。

今日の試合

今日は競歩審判しかしなかったのですが、本当に疲れました。暑かったし。
帰り道力尽きて、道の駅で寝ました笑
今までは毎週末のようにこの炎天下にさらされて、また月曜日の朝一から授業をしていたわけですが、信じられません。

私は引率ではありませんでしたが、自分の学校の選手も自己ベストでしたし、OBの選手も自己ベストで素晴らしい走りをしていました。

強化に関わらせていただいている800mの選手もシーズン初めとしては、素晴らしい走りでした。それもダントツの単独走で。教え子の川元の高校時代に近づきつつあります。

レース前に会ったときに、お尻周りの筋肉のつき方が明らかに変わっていて、ドキドキ感が止まりませんでした笑
走りを見ても、お尻、太腿が馬のようでした。コロナ禍中に苦手だった体幹や補強トレーニングがきっちりできたようです。これからがなかなかに楽しみです。

競歩も中距離も強化に関わらせていただいている選手に素晴らしい選手が多く、幸せです。彼らから得るものは多く、こちらが勉強させてもらっています。
(私は担当なだけで、素晴らしいのは本人と普段指導されている先生やコーチです。)

最近のレース結果から思うこと

ここ最近始まった中長距離のレースの結果を見ると、素晴らしい記録が続々と出ていますね。すごいです。

指導者側はその要因をちゃんと分析したら、これからの指導に活かせる気がします。

・例年、年間通してレースが続き、積み重ねる時間がなかったが、今シーズンは結果的にしっかりと練習を積み上げることができたからか。
・レースがなくなって、レースに出たいというモチベーションが高まった結果か。
・本来はオリンピックではっきするパフォーマンスをここでぶつけているからか。
・1年オリンピックが伸びたことで、チャンスがあると感じているからか。
・自粛期間に集団走などができず、自分のペースでできたことが良かったのか。
・自粛期間で強くなった選手と弱くなった選手の対比。

ピンチはチャンスですね。いろいろな気づきがあります。

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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