74 へき地・小規模校の教育実践②:「自由進度学習」

教育

前回に続き、「へき地・小規模校の教育実践〜個別最適化を実現する授業づくり〜」の研修内容について、私が印象に残ったことについて、2回シリーズの2回目です。

この研修講座は、信州大学教職大学院との連携講座で同名の「へき地・小規模校の教育実践」の授業単位となります。今年度はコロナの影響で、ここまでへき地の学校にお邪魔することができず、ここまできて、第1回目の授業となりました。

今回研修内容の中で、私が印象深かったことについて、2回シリーズに分けてお送りします。

1回目は「少人数教育の実践」と「G-Suiteを活用した遠隔協働学習」
2回目は「自由進度学習」についてです。

今回の研修は「へき地・小規模校」と銘打たれてましたが、やっていることは小さな学校に限らず、どの学校にも必要なことだなと感じました。

前回のブログ「73 へき地・小規模校の教育実践①:「少人数教育の実践」と「G-Suiteを活用した遠隔協働学習」より

自由進度学習

前回のブログで紹介させていただいた通り、
「木曽での新たな挑戦」

  1. 異学年集団での学習
    (連学年、それ以上の学年)
    ①学校ごと ②他校との集合学習
  2. 個のペースで進める学習
    ①単元内自由進度学習
    ②おんたけ学習(無学年制自由選択式ドリル)
  3. ICTを活用した遠隔合同学習

のなかに、個のペースで進める学習「単元内自由進度学習」というものがあります。
「単元内自習進度学習」とはどういったものでしょうか。

単元内自由進度学習とは

単元の学習のはじめに行われるガイダンス(導入)と、単元の終わりに行われるまとめの時間を除いた、その単元の授業時間のほとんどを、子どもが一人で学び進める学習方法。
ゆえに「教科の一人学び」とか、「教師が直接的に教えない(間接的に指導する)授業」とも表現できる。
また、実践の特徴から、自分のペースで学べるので「自由進度学習」、一人で学ぶので「個別学習」自分が立てた計画にそって進めるので「マイプラン学習」、教師に頼らず自分で頑張るので「チャレンジタイム」など、実践者や実践校で独自の呼称が付けられている。

また、次のような構成です。

単元内自由進度学習の全体構成(子どもの学習活動過程)
①学年全体 or 学級一斉でガイダンスを受ける
②「学習てきび」を足場に各自で学習計画を立てる
③計画に基づいて個人追究(一人学び)を進める
 (途中で教師のチェックを受ける)
④学年 or 学級でまとめを行う
 (振り返りや学習成果の共有など)
⑤学級で単元テストなどをうける

教員側の準備としては、上記の③に入ると子どもたちが各自学習を進めていくので、適切な個人追究ができるように、準備をします。具体的には、

自由進度学習の準備
①単元構想
 (1)単元選び
 (2)コース設計
②学習材作り
 (1)ガイダンス資料
 (2)学習のてびき
 (3)学習計画表
 (4)学習カード
 (5)発展学習カード
 (6)まとめプリント
③学習環境づくり
 (1)学習材としての掲示物・展示物
 (2)安心して学習に取り組める空間づくり

となっています。

簡単に言うと

私が研修を受けた上での表現なので、多少ニュアンスの違いはあるかもしれませんが、

「教師側があらかじめ、単元での学びの構想を行い、それに基づいて、子どもたちが一人ひとり計画を立てて、個人追究していく授業方法」

なのかなと思います。

参考書籍

興味のある方は、この本をご参照ください。Amazonでは取り扱いが終わってしまったそうで、こちらのサイトから購入をお勧めします。
http://www.reimei-shobo.com/ISBN978-4-654-02313-4.htm

私はまだ読んでいません。

単元内自由進度学習のメリット・デメリット

私自身、自由進度の学習形態に関してはずっと興味があり、実践したいと思っていました。
なんとなくやってみたことはありますが、ほとんどただの自習になってしまい、あまり良い授業にはなりませんでした。

しかし、単元内自由進度学習では、学習材づくりのなかで、
 (2)学習のてびき(教員が作成)
 (3)学習計画表(子どもが作成)
 (4)学習カード(教員が作成)
を作成します。ここが重要なポイントなのかなと思っています。

メリット

教師側が単元の最後までを見通した上で、授業を行わざるを得ない

こんなこと言ったら、学校教育が心配されてしまうかもしれませんが、授業を行うにあたって、その単元の最後まで計画を立てた上で、今日の授業に臨んでいる先生は非常に少ないと思います。
一つは忙しかったり、経験が浅いことにより、行き当たりばったりになってしまうこと。もう一つは経験的に先を見通せているので、いちいち先を見据える必要はないと思っていることです。

しかし、単元内自由進度学習では最初にガイダンスを行い、その後、学習の手引き(目標や授業の流れ)に基づいて、生徒が計画を立てて進めていきます。
そして、毎時間、教員側が用意した学習カード(課題)を各自のペースでクリアしていくことになります。
ということは、単元が始まる前に、最初から最後までの「学習カード」を用意しておく必要があります。

すなわち、教員側は強制的に先を見据えなければならなくなるのです。
これは、実は重要なことなんです。

学年全体で行うことで方針の統一が図れる

学年全体で行うことで、単元内で子どもたちに身につけて欲しい力について、担任同士が話し合う場面が生まれます。これすごく大事です。
学年全体で行うことにより、「学習のてびき」「学習カード」をどのように設定するかについて、かなり議論すると思います。これは非常に価値のあることだと考えます。

複数の先生で学年の生徒を指導する場合、指導方針を統一しておかないと、教科担当によって、指導内容に偏りがでがちです。しかし、こういった事前の準備を行うことで、お互いにとっての新たな気づきや、意識統一が図れるように思います。

ここまではどちらかというと、教員側のメリットを書きましたが、子どもにとってはどうでしょう。

個別最適化される

一斉授業は、実際のところ誰に合わせて授業をしているのかが、非常に曖昧になります。
誰に合わせて授業をしていますか?

力のある子どもは、説明を聞く必要はないし、わからない子どもは、わからないままという状況はよく起こります。

しかし、単元内自由進度学習では、各自が計画を立てて、自分のペースで進めることができます。
早めにできた子どもには「発展カード」を用意されています。

先生が説明している時間って、短ければ短いほどいいと思うんです。
先生たち、説明したがりだから、どうしても話が長くなります。(私もそうです)

ちなみに、個人追究している間、教員は子どもたちの学びを観察していることになります。

よって、授業の主体が教師ではなく、完全に子どもになります。

デメリット(課題)

逆にデメリットや課題はなんでしょうか。
メリットだけ見たら、やったほうがいいことばかりですよね。

「学習のてびき」「学習カード」の設定の難しさ

個人追求に入ってら、子どもたちは各自進めていきますので、どのような力を身に付けることができるかどうかは「学習のてびき」「学習カード」次第になります。
てびきの「目標」や「学習の流れ」の内容が適切であるか、「学習カード」の分量が適切であるかが、この授業の鍵であるように思います。
そこが、うまくいかないと、授業全体が崩れてしまします。

教えたい気持ちを我慢できるか

教員って、人に何か教えたくて教員になったので、どうしても教えたくなっちゃうんですよね。ヒントを出すことは、アリかもしれませんが、教え過ぎてしまうことは気をつけたいですね。
丁寧に教えたからといって、身につくとは限らないという理解が必要ですね。

どこまで一人でできるのか

子どもがどこまで一人でできるのかは、実践したことがないので、なんとも言えませんが、人によってかなり差は出ると思います。最低限の目標まで、到達できない場合、どのように支援するのか。
そこは、必ず課題になってくるのかなと思います。
また、他者との『学び合い』をどの程度、混在させていくのか。

まとめ

どこまでできるかは分かりませんが、今後学校に戻ったときに、学年を担当する先生と計画をして、実施したいと思っています。

「個人追究」って、なんだろうって考えると、受験勉強していたときの最後の最後がそれなのかなと思いました。
追い込まれて、自分なりの勉強の仕方を模索して、すごく苦しい時期なんだけど、勉強していてすごく楽しかった経験、ありませんか。
私も、卒業生と話をすると、その時期の勉強のことを「楽しかった」という子はすごく多いです。

小中高と、「人から何かを教えてもらう」ということが当たり前になっている日本の教育において、受験の最後の最後で、自分で考えるしかなくなったときに、初めて「個人追究」しているのだと思います。

それを、もっともっと早い段階でできたら、めちゃめちゃ成長しますね。
そうなるといいなと思っています。

また、先生の説明の時間がなくなるので、子どもが主体的に考える時間が増えて、少ない時間で効率よく授業が行えるようになると思うんです。

まだまだ、わからないことはたくさんあるので、もう少し勉強して実践します。

是非興味を持たれた方は、実践してみてください。
今回は、許可をもらっていないこともあり、「学習のてびき」「学習計画表」「学習カード」の写真を載せなかったので、イメージしづらいところがあったかもしれません。すみません。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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