「◯◯の是非」がシリーズ化できそうな気がしてきました笑
もし、もう少し、たまってきたら、ブログのリストを作ろうと思います笑笑
高校の進学校では3年生になると放課後や夏休みに「補習」が行われます。
「この『補習』って、本当に必要ですかね??」
先に断っておきますが、進学補習を行いたくないと思っていて、是非について述べているわけではなく、行うのであれば何のために行うのか、目的を明確にしようという考えで述べています。
補習をやられている先生が本当に一生懸命やっていることは、十分すぎるほどわかっています。
1、2年生に関しても夏休みなどに補習が行われますが、そちらについては今回割愛します。
3年生の進学補習についてのみ述べます。
補習を行う意義
昨年、「3年生の補習をやって欲しい。」と3年の担任に聞かれたので、
「やるのは構わないですが、どういう目的で補習を行うのか教えてください。」
と返したら、その後補習の担当者になることはなく、静かに外されていました苦笑
面倒なやつですみません。
ほしゅう【補習】
《名・ス他》学習の不足を補うため、正規の授業時間以外に勉強すること。
辞書で調べると上記のように出てきます。
そう補うためにあるのです。
通常進学校の3年生の授業は、ほとんどが演習になります。すなわち1、2年時に教育課程の内容は終了していて、3年時は受験に向けての対策を行うのです。
3年になっても教科書の内容をやらなければ終わらずに必死になっているのは、
- 理系の「数学Ⅲ」
- 「物理・化学・生物・地学」などの基礎科目ではない理科
- 日本史・世界史・地理などの地歴
- 政治経済などいくつかの科目
くらいです。
特に上の3つは履修内容が多く、授業ないでは終わらないため、授業外に補習を行って補うことはわかります。
しかし、それ以外の科目は2年時までにある程度目処が立っているので、授業時間外にどれほど補習をする必要があるのでしょうか。
私の担当する数学では、数学ⅠAや数学ⅡBは2年時までに終えているので、3年時の授業は演習のみを行います。にもかかわらず、放課後も演習の補習を行うのです。単純に考えておかしくないですか???
授業の中でできるでしょ。って思うんですよね。
例えば、予備校であれば、浪人生に対して昼間に授業を行って、夕方からまた補習なんてしませんよね。
では、なぜそれでも補習を行っているのでしょうか。
補習を行うメリット
・授業内では演習ができないので行う(これは論理的に理由として正しい)
・受験に向けての雰囲気作り(別に補習で作らなくてもよくないですか)
・毎年行っているから(なぜ行うのかは考えないのか)
・学校として受験対策をしているというアピール
・塾に通えない生徒のため、または生徒を塾に送らないため
いろいろ考えましたが、これ以上理由が見当たりません。
盲目に補習を行うデメリット
・授業が大切にされなくなる。(教員も生徒も)
・教員の労働時間増(特定の教員のみがものすごく増える)
・補習を受けることで満足感が出る(これは塾にも言えること)
・生徒が自学する時間が削られる
メリットとデメリットを考えた上で行うべき対策
・補習の目的・意義について再検討する
・例年行っているから今年も行うというという考えを捨てる
・計画を立てる
・目的・意義について、生徒に説明する。
実践例(進路係)
私は前任校で担任の2、3年時に進路係を行っていて、補習の取りまとめを行っていました。
その中でどのように取り組んできたかを書きたいと思います。
担当していた学年は、入学時から模試等の偏差値等は過年度に比べると苦戦していましたが、3年時の模試の結果は回を重ねるごとに向上し、最終的に希望の進路を実現した生徒が多かった学年です。
また、最後まで主体的に勉強を行っていた姿が印象的だった学年です。
補習の目的・計画を明確にする
当時「補習を行うかどうか」について、議論することはできませんでしたが、補習の目的について、明確にすることから始めました。
6月上旬の県総体終了後から、補習をスタートし、6、7月、夏休み前、夏休み前半、後半、2学期、センター前、国公立2次試験前とフェーズを分けて段階的に取り組みました。
毎年、場当たり的に補習が行われていることに疑問を感じていたので、最初の補修の段階で、12月までの実施計画を各教科・科目に提出してもらいました。
すなわち「補習が設定されているから行う」ではなく、「何のために行うのか」を明確にしてもらうためです。
例えば、まだ何を勉強していいかわからない6、7月は7月の「◯◯模試に対しての対策」のように取り組みやすい目的を明確にして、補習を設定しました。
ちょっとだけ話はそれますが、模試はその段階でつけていて欲しい力を試してくるので、模試の対策、復習を行うことは非常に有効です。
最初の補習は先着順
基本的に補習で受験への雰囲気作りを行うのは、どうかと思っていますが、「やらされて行うのではなく」、「主体的に補習に参加してもらうために」、最初の補習だけは、「空の名簿を張り出して、定員を決めて、先着順で名前を書いて行ってもらう方式」をとりました。
例年、補習というとホームルームで申し込み用紙が配られ、「いついつまでに提出しろ」と言われ、ほとんど強制的に参加させられてしまいます。それじゃ意味がないなと考えました。
ちなみにこの方法は成功し、希望者は殺到しました。
夏休みの補習はギッチリ入れない
何を勉強していいかわからない生徒が多いので、とりあえず補習をやれば力がつくんじゃないかと、参加してくれます。しかし、現実はそんなに簡単にはいきません。
ですので、夏休みの補習は、履修できる科目数に制限をつけて、自習時間をもうけました。
ただ、受け身で授業を受けるのばかりにならないように、予習復習ができる時間を確保しました。
すなわち、自分なりの学習時間を大切にして欲しいと考えました。
掲示板の活用
意外と大事なのが、連絡。
補習の連絡は廊下に掲示された掲示板で行っていました。
複数あった掲示板を一つの場所にまとめ、使いやすくしました。
生徒たちはいつもそこを通って確認する習慣をつけてもらいました。
また、これは私が勝手にやっていたことですが、生徒たちの気持ちが高まるように、そこに「今週の一言」を書いていました。
それが励みになったと言っていた生徒もいたので、価値はあったかもしれません。
3年前なので、思い出せないこともありますが、ざっとこのような観点を大事に行ってきました。
教科間のバランス
2020.8.28に追記。
補習って各教科から上がってくるので、教科間のバランスがとれていないことが多いんです。
教科によってはやらなくてもいいのに、「他の教科もやるからやるか」みたいな発想になることもあります。結果として盛り込みすぎになります。
そういった問題もあり、事前にどの時期でどの教科を重視して行うかを事前に話し合っておくことが大事になります。
具体的には「2年後半から3年1学期、夏休みまでは、英数(国)」、「2学期は理社」がお勧めです。英数は時間がかかります。もちろん2学期も勉強しますが、2学期からちょっと頑張っただけでは、なかなか成果に表れません。逆に理科、社会は短期間でものになりやすいので、後半成績を向上させるのに一役買ってくれます。
こういった強化の枠を超えた戦略的な取り組みは非常に重要です。
実践例(数学)
数学科の教員として行っていて価値があったなと感じる補習について述べたいと思います。
正直、授業でも行っている数学ⅠA、ⅡBの放課後の補習に関してはあまり意味を感じていません。
(ただし数学Ⅲ履修者に関しては授業時間で数学ⅠA、ⅡBにさける時間が限られるので、やってもいいかもしれませんが)
これをやるくらいだったら、授業のクオリティをあげて、時間のない理科や社会の補習を行った方が良いと思います。
数学Ⅲの演習
実施時期:通年
これはやった方がいいです。模試の問題や取り組みやすい大学の問題でもいいので、週に1回くらい1、2問を時間をかけて、対話形式で行うと良いと思います。
センター過去問演習
実施時期:夏休みから2学期にかけて土曜日の午前中
今年度より共通テストと名前が変わりましたが、センター試験の過去問の演習を、前任の1回目の担任の時は土曜日に行っていました。具体的には分野ごとに過去6年分を3時間で演習する形です。(1年分30分)例えば今回は「数学Bの数列」とか指定をして行います。2度目の担任の時は時間が捻出できずに問題数は少し減りました。
これは結構価値があるなと思います。生徒もこちらも事前の予習が大変ですが、傾向がよくわかります。ただし、部活の日程との調整が大変で死にそうでした。
数学Ⅲの2次試験対策
実施時期:センター試験後から国公立2次試験まで
例年2月に入ると、自宅研修になるんですが、数学Ⅲの履修者はどうしても演習が不足します。
12月から1月上旬はセンター対策で数学ⅠA、ⅡBにかかりっきりになるので、数学Ⅲの演習が不足します。国公立大学受験者中心に、志望校を確認し、その大学の過去問や似た問題を探してきて、1日2問程度演習します。また、基礎的な復習プリントも同時に配布し実施します。
私の経験ではこれを継続して取り組んできた生徒は、現役もしくは浪人する場合もありますが、国公立大学に合格しているので、やる価値はあるのかなと思っています。
ちなみに中堅どころの地方国公立の数学Ⅲの問題はさほど難しくなく、パターンも限られているので、ちゃんと対策していけば、結構できます。また、難しい問題が出題されたとしても、大抵誰も解けないです。(それもどうかと思いますが。逆に言えば、難しいのができれば受かる)
私がやっていて価値があるなと感じた補習はこのくらいですね。
すなわち、こちらで支援した方が効果的なのみです。
あとは、補習受けるくらいなら、良質な問題集を「いついつまでにやってきて」と渡して、やってきたものを見ながら、対話すれば十分な気がします。
そもそも指導すべきこと
当たり前のことなんですが、以下のような確認をすることなく、補習を行うことで生徒たちは「口を開けて餌を待っている小鳥」になりがちです。
「私たちが餌をとってきて、生徒に与える」のではなく、「生徒たちに餌の取り方を教える」ことが大事です。
「教えてもらう」ではなく、「自分から獲得する」という意識を思い出させる
根本的にこの意識がないと、同じものを受け取っても同じではないですね。
「自分の人生を自分の責任で生きる」という意識
もちろん親の援助なしに自立できるわけではありませんが、自分の責任でどうにかするという意識は超重要です。結構、親や先生に言われて勉強している生徒は多いですね。まずはそこを変えてあげることです。そうすると一人でに勉強し出します。
まとめ
ぜひ、補習の目的や意義については考え直してみて欲しいと思います。
やるのが当たり前じゃないですよ。やらなくてもうまくいく方法を考えることが大事です。
まずは、授業にベストを尽くしましょう。
大事なのは、生徒たちが自分で考えて勉強できることです。
良かれと思って補習していることはわかりますが、生徒たちからその時間を奪ってはいけません。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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