97 スポーツを支える人たちの熱意や好意に甘えるのはそろそろやめよう

部活動

高校の部活動の顧問を長くしていると、土日に大会の引率をするだけでなく、その大会の審判をすることになります。
今日は地区の新人戦の審判でした。

一般的に知られていませんが、引率顧問の先生方の高校総体や新人戦などの審判の手当ては0円です。
10年くらい前までは1,000円ほど出ていたと思いますが、今は0円となっています。
もらえないんです。(あくまでも私の所属する県であり、他の県は違うかもしれません。)

特殊勤務手当

部活動などに関わる手当ては、特殊勤務手当といいます。
修学旅行とかの引率のときなどももらえます。

本県の場合は、高校総体や新人戦は1日あたり5,100円、それ以外の大会や練習は3時間以上活動したら2,700円もらえることになっています。

例えば今月ですと、新人戦2日、それ以外の大会1日、土日の部活動4日(半日×4)となるので、18,600円もらえることになります。
(ちなみに私は今、大学院研修に出ていて、顧問ではないのでもらえません。)

これを高いと見るか、安いと見るかはなんとも言えませんが、合計で40時間くらいは働いているので、十分とは言えないですよね。

審判員の手当て

話は戻りますが、高体連主催の大会の場合、先生方の手当ては0円、そのほかの審判員の手当ては2,000円ほどです。
私が所属する団体が主催する競技会では手当てが1,500円(間違えていたらごめんなさい)で、半額の交通費が支給されます。(生徒引率が伴う場合は、学校出張となり、団体からは支給されない)

ちなみに公認の審判員に登録するのにもお金がかかります。これは所属する競技や、その団体によって異なると思いますが、今年度私は登録料として5,500円支払っています。
すなわち、ある程度の数の大会の審判を行わないと元は取れません。(元???)

多くの関係者のがんばりや好意に支えられている

土日に、
「部活だから」と言って家を出ますが、
賃金をもらうという観点では、
引率するので責任は伴いますが、ほとんど仕事にはなっていません。
正直、家族に
「好きでやっているだけでしょ」
と言われても否定はできません。

このような土日の大会の労働環境の中で、私の所属する団体の審判をやられている方々(特に先生が多い)は、非常に良い仕事をしています。
すなわち、「もっとより良くなるために、どうすれば良いか」と日々考えながら、大会の運営をしてくれているのです。
こういうことって、当たり前じゃないですよ。本当に頭の下がる思いです。

でもですよ。
これって、「その先生たちのがんばりに甘えているんじゃないか」と、思うんです。
そろそろ、その仕事に見合った報酬をきちんと支払うべきなんじゃないかと。

そもそも、大規模な大会の運営は多くのボランティアに支えられている面はあります。
年に1度くらいのイベントであれば、それでも良いかもしれませんが、年間何度も行われるような、部活動の大会などは、ボランティアや少ない手当てで、運営して行くことは、人が集まらず非常に厳しい状態となってきています。その中の人たちも疲弊していきます。

「通常の仕事+土日の大会の運営」になるのですから、休みがないです。

審判員の高齢化が大きな問題となってきています。
今日も、いつも一緒に審判をさせていただいている方が、「最近体の調子が悪い」と話されていました。(もうすぐ70歳)そういう人たちに支えられています。

今日も大会と並行して、新規取得者のための審判講習会をやってくださいました。
ここ数年、新人戦と合わせて行われています。
積極的に行っていただいていて、本当にありがたいです。

私はこういった活動も含めて、熱心に取り組んでくれている人に対して、正当な対価が支払われて欲しいし、そうでないと結果的に、どんどん審判員をやってくれる人がいなくなってしまうのではないか思っています。

また、このような状況で大会を運営しているのにもかかわらず、多くの批判やクレームを受けることがあることもまた事実です。そういった話を聞くと、非常に残念な気持ちになります。

ほとんどバイト代をもらっていないバイトに、「もっと良い仕事をしろ!」っていっているようなものです。「そんなこと言うなら、辞めてやりますよ!」ってなりますよ。普通。

どうやったら正当な対価を支払うことができるのか

では、どうやったら適切な手当てを支払うことができるのでしょうか。
そもそも、団体の収入を増やさなければなりません。

これは、非常に難しい問題です。

一つは、登録料や大会の出場料を値上げすることです。
個人的には今の審判員のがんばりを考えると、出場料は多少値上げしても良いように思います。ただ、それによって、出場者が減るのであれば、結局同じなので、簡単な問題ではないです。
(例えば1種目1,000円で2種目出ていた人が、1種目2,000円になったから、出る種目を1種目に減らすことは十分に起こり得る)

そのほかには、大会の動画配信などでの広告収入を得ていくこともアリかもしれませんが、視聴者数を考えると、現実的ではないように思います。

競技団体として、技術指導のYouTubeチャンネルを開設して広告収入を得ることの方が現実的かもしれません。(ただし、だったら自分でやった方が自分の収入になる??)

クラウドファンディングでお金を集めて、そのリターンとして出資者への練習会の実施とか?

もう少し、アイデア考えます。

スポーツのマネジメントの世界では、こういった問題ってどのように解消しているのでしょうか。

まとめ

今回、結論はありません。

しかし、このままでは「やりがいの搾取」になりかねません。
審判員をしたいっていう人が増えるように、これからも仕組みを考えていきたいと思います。

私は自分が選手だったとき、審判員が審判をしてくれることは当たり前だと思っていました。
本当に礼儀のないやつだったと思います。
でもその当たり前は、多くの人の熱意や好意で成り立っているのだと、支える側に立って初めてわかりました。情けない話ですが。

スポーツや部活動でお金の話をすると、嫌な顔をされたりしますが、その人が長い時間かけて培った技術や、その人の時間に、対価を支払うのは当然だと思っています。
(どの程度が正当な対価なのかも、まだはっきりわかりませんが)

スポーツや部活動を支える側に対して、その熱意や好意に甘えるのは、そろそろやめにしても良いんじゃないかと。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。



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