77 陸上競技の継続性とトランスファー

部活動

前回のブログで「76 子どもの頃は様々な競技(スポーツ)に取り組んだ方がいいのか」について書きました。

今回は、日本代表レベルの選手がいつから活躍していたのか、また実際のところどのくらいの選手が「同じ競技」を続けていて、そのうちのどのくらいの選手が「その競技」で成功しているのか、について、陸上競技のデータを用いて書きたいと思います。

陸上陸連 タレントトランスファーガイドより

ここでの説明は2919年に発行された「日本陸連 タレントトランスファーガイド」より引用しています。

日本陸連 タレントトランスファーガイド

日本代表選手は、子どもの頃からトップレベルだったのか

次の表1を見てもらいたいと思います。

詳しい説明は読んでいただければいいと思いますが、特出すべきポイントだけあげたいと思います。
小学校時代に陸上競技をやっている代表選手はさほど多くないですね。
小学校から始めた代表選手のうち1/4は全国大会出場、1/8は入賞しているということでしょうか。(解釈が違ったら誰か指摘してください。)
小学校時代に成長の早い子どもに期待しすぎて、結果にこだわることはしない方が良いかもしれませんね。
実施率があまり高くないことからもわかる通り、小学校で他のスポーツを行っていて、中学校以降から陸上競技を始めても十分にやれるように思います。
75 運動会のリレーの是非」でも述べた通り、小学校の時期の競技成績は、生まれ月が大きく影響します。

中学時代に陸上をやっていて、代表選手になった割合が8割で、全国大会出場4割、入賞2割ですから、中学から始めた代表選手のうち1/2(半分)は全国大会出場、1/4は入賞しているということでしょうか。(解釈が違ったら誰か指摘してください。)
これと高いと感じるか、低いと感じるかは、人によって感じ方は異なりそうです。
この数字、私は結構高いなと感じています。しかし、逆に考えると、代表選手の8割は中学時に全国で入賞していないまたは、競技自体をやっていないとも言えるので、思ったほど多くないような気もします。どっちだよ笑
全体的に見れば、中学で全国に出なくても、可能性はかなりあります。

そして、高校での実施率をみると、代表選手で高校時代に陸上部じゃない選手はほぼいないですね。また、全国大会出場または入賞した選手で代表になる選手の割合もグッと上がります。
大学以降である程度の環境で競技を続けるためには、それなりの実績も必要になることが関連しているように思います。全国入賞しないとなかなか、推薦は得られないですね。あとは、長距離で全国大会には出ていないけど、箱根駅伝に出場する学校に推薦で入った選手の人数を入れたら、もっと代表選手の割合は増えると思います。

日本代表選手の競技間・種目間のトランスファー

やはり、日本代表選手は中学校から陸上を始める選手は多いですね。
しかし、高校から始める選手も3割います。
高校からでも日本代表になれますね。これは夢のあることですよ。

また、中学から高校で種目を変えている選手が5割以上もいます。大学・実業団で変更している選手も3割以上います。この割合は結構多いように感じますか?個人的には納得の数字です。

陸上競技の競技継続率

では代表選手に限らず、実際に中学校で陸上競技を始めた選手のうちどのくらい高校でも継続するのでしょうか。また、高校から始める選手はどのくらいいるのでしょうか。
次の図を見てください。

他の競技のデータを見たことがないので、この継続率を多いと見るか、少ないと見るかは何とも言えないところです。女子は継続数が少ないような気がしますね。男女とも半数以上の選手が続けられるようになるといいかなと思いますね。

自分のこれまで勤めてきた学校で考えると、入学してきた陸上経験者のうち、半分以上は継続している気がするので、平均より少し多い方なのかなと思っています。

そして、高校からの新規加入が、中学からの継続者数とさほど変わらないですね。
実感としても、チームのうち、高校から始めた選手が半分弱くらいな印象です。

他の競技ってどのくらいなんでしょうか。
非継続の割合は、どの競技もそんなに変わらなそうな気がしますね。
高校にしかない部活動もあるので。
それでも陸上は、他競技に比べると新規の加入者の多い競技ではないかと思います。
(一般的に高校からしかない競技を除いて)

私の指導歴でのインターハイ出場者の中学校時代の競技または種目

こんな感じです。

高校の全国大会出場種目/中学校時代の競技または種目

男子
800m優勝,1500m /陸上800m,1500m
※中学は1500mがメイン、高校は800mがメイン
800m/野球
3000mSC/サッカー
円盤投/高2春まで野球
ハンマー投/バスケット・砲丸投

女子
砲丸投・円盤投/バレー
七種競技/陸上100mH

私の周りは比較的、他競技からのトランスファーが多いですね。
前任校の周辺に陸上部がない学校が多かったことも影響していると思います。
また、継続した選手も種目変更をしていますね。


これが、ブロック大会出場(北信越大会)となると、陸上継続者と、競技変更者が半分くらいです。中には中学時代に美術部や、社会福祉部だった選手もいます。すごいトランスファーです!

オリンピック選手の専門種目を始めた年齢(他競技間比較)

これを見ると、種目によって低年齢から始めるべきな種目と、そうでない種目がよくわかるのではないでしょうか。

こういうデータって面白いです。皆さんのイメージと一致していましたか?

日本陸連の提言

次のような提言がされています。

「目先の結果に焦らず、長い目で子どもたちを見ていこうね。」っていうことですね。

生涯最高記録の達成年齢

また、大人になってからの伸び率も世界と比べると、低いんですよね。

確かに実感として、男子は大学、女子は高校がピークである印象が強いです。
これには様々な理由があるように思いますが、今回はデータの提示までにしておきます。

まとめ

陸上競技を指導するものとしては、「競技成績に関わらず、競技が好きで長く続けてほしいな。」と思っています。また、「カテゴリーが上がると種目も増えるので、新しい種目にもチャレンジしてほしい」と思っています。

また、「他の競技をやっていた子で、チーム競技より、個人競技がいいなと思った人は、是非チャレンジしてみてほしい」ですね。

また、他の種目、サッカーやバスケットなどでは、どのようなデータになっているのか、調べてみるとより面白いと思います。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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