50 大人が選手をダメにする

部活動

今日は陸上の話です。
ある程度のスポーツ全般に言えることですが、陸上について書きました。

為末大学

私は基本的に動画を見るよりも、文字を読む方が好きなので、音楽系のYouTube以外はあまり見ないのですが、為末大さんがやっている為末大学 Tamesue Academyは最近よく観ています。

為末 大(ためすえ だい、1978年5月3日 – )は、広島市佐伯区出身の男子元陸上競技選手400mハードル日本記録保持者で、現在はスポーツコメンテータータレント指導者などで活動中。株式会社R.project取締役。株式会社侍 代表取締役。
2001年世界陸上エドモントン大会2005年世界陸上ヘルシンキ大会の男子400mハードルにおいて、世界陸上選手権の2大会で銅メダルを獲得。又オリンピックには、2000年シドニー2004年アテネ2008年北京と、3大会連続で出場した。身長170cm、体重66kg。

Wikipediaより引用

世界陸上400mHで2度のメダルを獲得しています。
ちなみに同い年です。(まったく面識はありませんが。)

紹介したい動画はいくつもあるのですが、今日は「早熟型の特徴」のなかで触れられていた話について書きたいと思いあます。
動画を見ていただいてから、読むとスムーズかもしれません。

子どもの成長のタイミング

指導レベル

昨今、小中学校の指導者は非常に優秀で、一昔前とは違い指導も的確です。
ですので、小中学生のレベルもぐんぐん上がっています。
実際に陸連のコーチングクリニックでも、そのような話をされていました。
何もやったことのない子どもに一から教えることが一番難しいです。

成長段階と伸び代

高校の指導者をやっていて、中学校時代に活躍した選手が入学してきたときに、すごく楽しみな反面、選手によってはどのように育てていくのか、非常に悩むことがあります。

小中学校でかなりやり込んだ状態で高校に上がってくる選手がいることは事実です。

身体的な成長段階がまだまだで、これから身長が伸びていくような選手はいいのです。これからの成長でさらに伸びる可能性が高いです。
しかし、中学の早い段階で身長の伸びが止まり、大人の体つきをしていて活躍してきた「早熟」な中学生は、高校でなかなか苦労しているケースが多いように感じます。
トップ選手のうちの、男子の一部の選手、女子のかなりの選手がそうであるように思います。(女子の方が男子より2年くらい成長が早いので)

当然、その辺りの身体的な伸び代を見ながらスカウティングしている高校の指導者もいます。

誕生月分布

日本陸連のデータでも、低年齢では誕生月によってかなり成績が違うことがわかっています。これはサッカーや野球でも言えることです。
すなわち低年齢であるうちは、成長が早い方が有利ということです。また、人より速く走れれば、自己肯定感が強くなりますので、より頑張れるので有利です。
しかし、年齢を重ねるごとに、誕生月による優位差はなくなります。

必ずしも、小中学校で強かった選手が、そのままずっと強いという事ではなく、苦労している選手もかなりいるという事です。

日本陸上脅威技連盟 競技者育成プログラム より引用

私の知っている日本記録保持者の場合

ちなみに川元(800m日本記録保持保持者)が入学してきたときは、中学時代に今の専門である800mをまだ2大会しか走ったことがなかったので、伸び代は大きく、私自身さほどプレッシャーはありませんでした。(その2大会目がジュニアオリンピックで4位だったわけですが。)

種目に特化した練習もしていませんし、さほど中学時代の練習量も多くなかったので、これからやればすぐに良くなるだろうと予想ができました。
彼は中学時代、ほぼノーアップで試合に出ていたそうです笑笑

そして3月生まれです。

指導者が共通認識を持っていたいこと

私が今回のブログで一番述べたい事は、「だから小中学時代にやり過ぎないで」ということではありません。ここまで読んで、気分を害された小中学校の先生、ごめんなさい。

私が述べたいのは、「指導者も親も、周りの大人たちも、そういった成長の段階があるということを理解した上で、選手に接することが大事だよね。」ってことです。

私は以下のことを小中学校の先生と共有しながらやりたいなと思っています。

教え過ぎて奪ってしまう

何も陸上の指導に限ったことでありませんが、子ども自身が「なんでそうなるのか」がわかっていないと、一度できなくなると再現性がなく、スランプに陥ります。
これが教え過ぎることの危険性なのかなと思います。
選手は自立した存在であり、指導者の力量を試す存在ではないです。
教え過ぎて選手から考えることを奪ってしまう事は非常に危険です。

親や先生が期待し過ぎる

先生や親の期待が大きくなり過ぎると、後々選手は苦しくなります。
なぜなら、後から体が成長してきた選手がどんどん自分のことを追い上げてくるからです。
選手も親もプライドがあるので、逃げ場がどんどんなくなります。
特に小中学校の時に、親が周りに対して、自分の子供を自慢して、大きな顔をしてしまうと本当に苦しいです。そういった場面を何度も見てきました。

小中学校時代に、親や先生が過熱しすぎない事は、本当に重要なことのように思います。でもこれがなかなかできないんですよね。高校の指導者であっても、私も気をつけています。

今までうまくいった選手の親は、指導者(私)を信頼して、任せてくれていたように思います。
一喜一憂したい気持ちを抑えて、見守ってくれていました。

周囲の大人の存在

これがなかなか厄介です。
今うまくいっていないと、昔の活躍を知っている人が色々言ってきます。
悪気はないのかもしれませんが、「お前は昔もっとこうだった。今ちゃんと練習できてないんじゃないか」と。
試合の前後に審判の先生に言われたりすることもよくあります。
そのことで選手が泣きながらレースから帰ってきたこともあります。

こういった言葉が、今の自分の取り組みを不安にさせ、また今の学校の練習に対する不信感に繋がり、負のスパイラルを生んでいます。

昔、川元(日本記録保持者)に「いろんな人にいろんなことを言われて、大変じゃない?」って聞いたことがあります。
そうしたら「大丈夫です。聞き流してるんで。」と即答してきました笑
でもこれ、本当に重要な能力です。
為末さんも言っていましたが、真面目にすべての人の言葉を受け入れていたら、精神が壊れますね。
私も川元からこの言葉を聞き、時々実践しています笑

今できることをやろう

選手は今の自分と向き合おう

もし、うまくいかなくなった時、過去の自分の成功と比べて、今の自分を測る事はやめた方がいいです。
ライバルが成長してきて、脅威を感じたとしても、今の自分に向き合って、今できることをやる事です。
それが簡単ではない事はわかっていますが、伸びが止まった後にさらに大きく伸びるのは、非常に難しいです。
もし、その種目に伸び代がないのであれば、種目を変えていいと思います。

それは決して逃げではないと思います。

先のないことに時間をかける事はあまりいいことではありません。
何より、できないことができる事は単純に喜びです。

先日のブログでも触れた前任校のOGである七種競技の選手は、高校から種目を変更して、七種競技を始めました。今年が8年目になります。
7種目もあるので、いつもどこかに伸び代があって続けられているように思います。成長できるって本当に大事な事だなと思います。

世の中の成功体験に気をつけよう

世の中に溢れる成功体験は、たまたまうまくいった人ことだけが並んでいます。
実際のところ、その裏ではうまくいかなかった人の物語で溢れているわけですが、それは決して話題に上がりません。
そう言った数少ない成功事例に期待して、先の見えないただただ苦しい道を歩むよりも、今の自分にできる道を模索することが大事です。
その成功体験があなたにも当てはまるとは限りません。

顧問が周囲の声に

そして選手に言える事は顧問にも言えると思います。
小中学校と活躍してきた選手が高校でうまくいっていないのを見ると、周りの大人は今の顧問に対しても陰でとやかく言います。
これは非常に辛い事ですが、その事ばかりに目がいくと目的を見間違えます。
最悪、うまくいかないことを選手のせいにしてしまったりします。
(私自身、そうなってしまったこともあります。)

大事なのは、今目の前にいる子どもに対して何ができるかです。
一番辛いのは選手なので、共に戦えるといいと思います。
そのために、ブライド捨てて、自分より力のある指導者から学び、力を借りることだって大事なことです。これができない指導者が多い。(私も以前そうでした。できなかった。)

まとめ

十分な内容であったかは分かりませんが、今回のブログを読んだ人の指導により、これからの子どもたちの成長に、少しでもプラスになればいいなと思っています。

ちなみに本当に優れた指導者は、私が書いたようなことなど凌駕しています。
本当にごく少数ですが、いらっしゃいます。

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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